「Excelで学ぶ株式投資」 藤本壱 著

Excelで学ぶ株式投資―Excelで実践する、銘柄の選び方からテクニカル分析の基本、シミュレーション(バックテスト)まで
経済に関する本の感想はこっちの日記に書くかもう一つの方に書くか迷うところだけど、数字を扱うものなのでこっちでいいだろう。
期待しすぎたのか、なんかだまされた気分だ。Webクエリ機能の説明があるので、全自動でデータ取得、指標計算を行う方法が書いてあるのかと思ったんだけど、時系列データは自動で取得する方法が書かれていない。本の中では「ワークシートに株価データを入力していきます」と書かれていて、手で入力していくことを想定しているっぽい。
使っているのは大体Excelの基本機能だし、2つのグラフを作って手動で横幅を合わせるとか、トレンドラインは目測で線を引くとか、わざわざ本にするほどのことかなあ。
株に関してはまるっきり素人なので、株に関しての説明は面白かったけど、たぶん普通の株入門書を読んだ方が得るものは多いだろうな。株もExcelも初心者だけど株入門書とExcel入門書の2冊読むのは面倒という人向けなのかな。


株指標というのはなかなか興味深いと最近思い始めた。グラフの形から先を読むなんていうのは宝くじの当選番号を予想するのと同じぐらいに胡散臭いものかと思っていたけどそうでもないのかもしれない。
過去の株価の上げ下げから将来の株価を予想するいわゆる「テクニカル指標」と呼ばれているものが注目しているのは、大雑把に分けると2点あるように見える。
1つは投資者の心理。かっこよく言えばポーカーみたいなものなんだな。ある株価の上昇が止まった場合、それは他の投資者がどう考えた結果なのかを判定する。株価が上昇しすぎたと判定されたのか、利益確定のために売られているだけなのか。短期的な株売買に重要なのは会社自体の体質や業績より、株価の変動の原因が投資家のどんな心理によるものなのかを判定することだ。
もう1つは株価のぶれ。株価は常に変動する。適正株価からのぶれを読み、適正価格に戻ろうとする力にいかに乗るか。波に乗り遅れたやつをいかに喰い物にするか。


難しいのはその「適正価格」をどう判断するかだ。判断材料は「適正価格」にぶれや思惑が重畳された株価の時系列データしかない。そもそも「適正価格」というものも仮想的な存在だ。長期的に見るか短期的に見るかで「適正価格」の判定は変わる。しかも「適正価格」は会社のデータから計算される値ではなく、投資家が判定した「適正価格」だ。